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SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary SHOOTING REPORT

約4分
SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary

90mmの中望遠だとは思えない小ささ

SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary

SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporaryと当時に発表された中望遠単焦点レンズのSIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporaryは、「I」シリーズ6本目のレンズとなる。シリーズコンセプトをしっかりと受け継ぎ、筐体は質感の高い金属素材を使用。フードまで金属でできており、その拘りはプロダクトの高級感を生み出す。特に絞りリングのクリック感や質感は他の現代レンズにはない上質さがあり、まるでオールドレンズを使っているかのような錯覚を覚えるほどだ。このレンズの驚くべきところは、その「大きさ」だろう。全長約59.7mm(Lマウントモデル)と、まさに手のひらサイズとはこのことだ。90mmの中望遠レンズの長さだとは正直思えないほどだ。筆者のフルサイズ中望遠レンズのイメージは、やはりそれなりに全長があるものが多い。箱から出したときには「これ、本当に中望遠レンズ?」と思わずつぶやくほどだ。重さも約295gと軽量。スッとかばんの中に入れておいても苦にならない重さとサイズ感なのだ。そういう意味でも、スナップ撮影やポートレート撮影にうってつけのレンズだろう。

LUMIX S5 + SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary

ポートレートから近接撮影までマルチにこなせる

LUMIX S5 + SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary

10群11枚の中にSLDガラスを5枚使用していることで、カメラ側での補正ができない軸上色収差を抑制。カメラ側できる補正とレンズ側でしかできない補正を組み合わせることで、レンズの描写力を飛躍的に向上させている。ボケ味に関しては非常に素直な硬すぎないボケでありながらも、全体的に解像力の高いレンズだからこそ、細かいところまでしっかりと描写ができている。また逆光時のゴーストやフレアに関しても「頑張って意図的に」出そうとしない限り、ほとんど出ることはない。レンズの素性が非常によく、撮っていて楽しいレンズだ。また約50cmの近接撮影が可能で、マクロ的な使い方もできる。

SIGMA fp L + SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary (すべて)

実際にポートレート撮影で使ってみたが、全体的に非常にシャープで細かい線が描けている。逆光時の光の表現力も高く、透明感のある嫌味のない光を演出できる。ポートレート撮影は逆光でのシーンでよく使うことがあるので、ポートレート作品撮りにも積極的に使えるレンズだと感じた。また開放値f2に関しても、背景の存在感もある程度大事にしたい構図ならば、むしろf2.8のほうが都合がよい。f1.4だとボケ過ぎてしまうため、なにか撮影者の強いメッセージがない場合には、全体的に主題がボケてしまいがちになる。このレンズは開放値からかなりシャープなので、ポートレート撮影時には絞り込むこと自体が必要ないのでは……と思うほどだ。ボケに厚みがある分、スナップ撮影にもそのボケを生かしてもいいのではないか。普段がから持ち出せるサイズ感のレンズなだけに、マルチに使いこなせる気軽なレンズなのは嬉しい。

完全なる防塵・防滴機構ではないとのことだが、簡易的な防塵・防滴性能はあるとのことなので、安心してバリバリ使うことができる。AF性能に関してもLUMIX S5およびfp Lのどちらでも試したが、不満になることはまったくない。むしろストレスなく実用性が高いAF性能だ。特に瞳・顔認識AFでの追従性能もよく、フレキシブルな撮影ができる。

レンズキャップに関しては、購入時に2種類が同梱されている。従来のつまみ型のレンズキャップとマグネット式メタルキャップだ。筆者は、マグネット式メタルキャップを面白がって使っているが、フードを装着した状態でよく使用するならつまみ型のレンズキャップを使用したほうが使い勝手はいいかもしれない。マグネット式はフードを装着した状態では、キャップがなかなか取れない。そういうところも含めて、シグマのレンズは遊び心があり、愛着が湧くのだが(笑)。

モデル/外山史織 文・撮影/大貝篤史


SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/c021_90_28/