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Nikon NIKKOR Z 40mm f/2 SHOOTING REPORET

約4分

ファーストアプローチのレンズとして最適な1本

 2018年11月に発売したNikon Zシリーズ。すでに3年が過ぎ、純正のZマウントレンズの充実度は格段に良くなっている。その甲斐もあって、街中でZシリーズを見かけることがだいぶ増えてきた。APS-CのZ fcもそのクラシカルなデザインとは裏腹に、高性能カメラぶりに筆者も思わず購入したぐらいだ。そんな筆者だが密かにZ 6を購入していてフルサイズのニコンミラーレスカメラの魅力に昨今取り憑かれている(笑)。
 Z 6を運用する際にメインで使用しているレンズは「オールドレンズ」だ。「え?」と思う方もいるかもしれないが、少し前まではライカM型レンズなどの古いレンズを使用するためには、マウントアダプターを装着するのだが、AFがきちんと稼働するマウントアダプターがサードパーティ製品だが存在するのだ。今まではソニーのαシリーズ用ぐらいしかなかったのだが、これでニコンのミラーレスカメラは俄然候補に上がった。

 しかし、すべてのシーンをオールドレンズで撮り切れるわけではない。とはいえ、少し癖のあるレンズを手に入れたいと思っている人におすすめなのが、2021年10月に発売したNIKKOR Z 40mm f/2だ。どこか癖のあるレンズなのかというと、その焦点距離と写りだ。一般的には、35mmと50mmは単焦点レンズとして認知度が高い。その狭間の焦点距離なのが40mmで、最初は少し慣れるまでに、戸惑う人も多い焦点距離だが、「狭すぎず広すぎない」絶妙な画角の写真が撮れる。特に50mmを少し狭いと感じる人にはおすすめの焦点距離なのだ。レンズ自体は俗にいう「2重パンケーキ」の大きさで、非常にコンパクトで軽量だ。昨今のミラーレスカメラは小型になっているので、レンズも小さいことは非常に魅力的。常用して使うレンズはこれぐらいの大きさのものがいい。写りはいいけど重くて大きいレンズは防湿庫行きになりやすい。それでいて防塵・防滴仕様なので、雨天の撮影時にもそれほど気にせず持ち出せる。場所や時間を気にせず使え、使い込むほどその焦点距離の魅力に取りつかれる「素敵なレンズ」だ。

表現力のある写りが魅力的

 開放値はf2と比較的明るいのが嬉しい。この手のレンズはf2.8であることが多く、ポートレートなどで使用すると少し物足りないと感じることがある。しかし、NIKKOR Z 40mm f/2なら自然でなめらかなボケ感を味わうことができる。特に寄りの撮影ならそのボケはさらに強調され、広角気味なのにも関わらず立体感のある画を撮れるのがいい。f5.6程度まで絞り込めば、全体的に解像感のある写真になるのだが、開放値で撮影するとどこか少しオールドレンズのような柔らかさを感じることができ、筆者的には好みのレンズ特性だ。また、スナップ用途で使用するならf2という開放値とZシリーズの高感度特性の高さを組み合わせることで、夜間での撮影もかなりフレキシブルに可能だ。夜にぶん回せることができるカメラシステムは非常に楽しい。特に11月ぐらいから急激に日が短くなってくるため、撮影のバリエーションを増やす意味でも明るいレンズはこの時期にとてもありがたい。さらにこのレンズをおすすめする理由のひとつでもあるのが、近接性能の高さだ。最短撮影距離が約0.29mとかなり寄ることができ、テーブルフォトなどに活用できる。常に持ち歩くカメラとレンズに絶対的に必要なことは「なんでもマルチに撮れること」であり、このレンズはそれを具現化したレンズだ。  AF性能に関しても、合焦スピードは非常に速く、ピント合わせでストレスを感じることはない。AFの稼働音に関しても静かなので、動画撮影の用途にも最適なレンズだ。ちなみにフィルター系は52mmだ。
 総合的に考えて、Zシリーズを日常使いしている人にこそ似合うレンズこそ、NIKKOR Z 40mm f/2であり、標準ズームレンズを使いこなせてきた人が次のステップアップとして購入する単焦点レンズとしてもおすすめだ。これ一本で表現できる世界を楽しんでほしい。




■文・撮影/大貝篤史  ■モデル/外山史織(株式会社Uー8)

■すべてNikon Z 6 + NIKKOR Z 40mm f/2 にて撮影


■NIKKOR Z 40mm f/2
https://www.nikon-image.com/products/nikkor/zmount/nikkor_z_40mm_f2/