OMデジタルソリューションズより遂にOM-1 MarkIIが発表された。数年ぶりのフラッグシップモデルのモデルチェンジで、テンションが上がっているヒトは多いだろう。LUMIXは去年10月にLUMIX G9PROIIを発売。久々のマイクロフォーサーズカメラということで、注目度は高かった。像面位相差AFの搭載などLUMIXユーザーにとっては非常に待ち望んだアップグレードだったので、買い換え需要を中心に人気が高い。 しかし、OM-1ユーザーからすれば「ようやく像面位相差やんけ」という気持ちはあり、買い換えまでテンションが上がらないヒトが多かったのではないか。そんな中、OM-1 MarkIIの発表はまさに「神降臨」だろう。
OM-1 MarkIIのレビューはOMデジタルソリューションズさんが貸してくれればやるとして、なんだかんだ言って注目されるマイクロフォーサーズ。今回はマイクロフォーサーズマウントとして、LUMIX、OMデジタルソリューションズのレンズ群の中から、オススメの1本を選ぶとしたら……。という観点からM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROを選んだ。LUMIX Gレンズ、M.ZUIKOレンズを数々所有しているが、ファーストレンズとしてオススメしたいのが、このレンズだ。35mm判換算で約50mmの焦点距離は万能に使える。この1本でスナップ、ポートレートであればほぼほぼのシーンは撮れてしまう。ついついズームレンズをオススメしたくなるが、画角やf値などの変化を勉強するならやはり50mm相当がいい。昨今では描写力の高いズームレンズが各社からリリースされており、単焦点レンズの方が解像感、描写力でアドバンテージがある時代は少し古いのかもしれない。それでも単玉レンズを「BEST BY」に選ぶのは「体で画角を覚える」ことができるからだ。
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/8000秒・f1.2・ISO100（上）
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/1000秒・f1.2・ISO100（下）
マイクロフォーサーズで上質なボケ感を味わえる
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/4000秒・f1.2・ISO100
またマイクロフォーサーズカメラの「欠点」のように言われるのは、思っているよりボケない……。ということだろう。フルサイズミラーレスカメラが比較的安価な値段で買える時代に、ポートレートなどボケ味やボケ感を重視する被写体を好んで撮影しているヒトにとっては、ついついフルサイズ一択になってしまいがちだ。M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROであれば、開放値がf1.2とかなり明るいため、十分にボケ感を得ることができる。このレンズの魅力は近代レンズでありながらも、どこか開放値で撮影したときにオールドレンズっぽい描写がするところだ。
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/6400秒・f1.2・ISO100（上）
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/2000秒・f1.2・ISO100（中）
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/400秒・f4・ISO100（下）
もちろん、f2程度まで絞り込むことで、現代レンズらしいシャープで解像感のある描写になるのだが、開放で撮ると若干ふんわり感を感じる。特に逆光時での撮影では顕著にそれが出る。f値で表情が変わるレンズは撮影時にバリエーションを作りやすく、長く使える愛用のレンズになる。もちろん開放値では、若干だが周辺があまくなるが、これも気になるようなことはほとんどない。f4まで絞り込めば周辺までしっかりと解像してくれる。マイクロフォーサーズの場合には、それほど絞り込まなくても「全ピン」になるため、回折現象など起きるほど絞る必要がない。そういう意味では風景写真にも適したフォーマットだ。
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/200秒・f6.3・ISO100
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/50秒・f6.3・ISO100
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/1250秒・f1.2・ISO100
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/250秒・f6.3・ISO100
所有欲が沸くビルドクオリティー
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/5000秒・f1.2・ISO100
さすがのZUIKOブランド。開放値でもピント面はかなりシャープで解像感がある。ポートレートであれば、主題をはっきりした作品を撮ることができるため、「ボケ量よりも質」を大事にしたいヒトなら、M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROは非常に相性のいいレンズだ。AF性能に関しても申し分はない。LUMIX G9PROIIとの組み合わせで撮影したが、迷ったりすることはほとんどなく、快適なAF性能を発揮した。像面位相差AFが非搭載の従来モデルだと、若干挙動が乱れることがあったが、LUMIX G9PROIIであれば、OMデジタルソリューションズのボディーを使っているのと遜色なく使えるだろう。 かなりの大口径レンズだが、重量も約410グラムと軽量。同レベルのフルサイズレンズよりも小型かつ軽量なのはうれしい。近接性能がよく、センサー面より約30cmとかなり寄れるので、草花やテーブルフォトにも最適だ。筐体は金属質で高級感があり、剛性も高い。もちろん、プロ向けレンズなので、防塵・防滴性能も優れている。さらに「マニュアルフォーカスクラッチ機構」が搭載されているため、筐体のリングを前後させることで、瞬時にマニュアルフォーカスに切り替えることができる。まさに「至高の単玉レンズ」なのだ。
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/1250秒・f1.2・ISO100（左右ともに）
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/20秒・f10・ISO100
OM-1 MarkIIがついに発表され、買い換えのみならず買い増し需要も今後増えるだろう。そんな中、是非「高性能ボディには高性能レンズ」の組み合わせで撮影してほしい。そうすることで、さらなる魅力が発見でき、自分の表現したい作品を撮る近道になる。M.ZUIKOレンズを使うと思い知らされるのは「カメラはやっぱりレンズだよね」ということだ。M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROは確かにリリースされてかなり時間が経ったレンズだ。それでも「名玉」として今も愛され続ける理由は、ビルドクオリティーが高いからだ。それこそ日本の物作りだと思うし、高級な物を持っているという優越感にもつながる。所有欲が沸くこのレンズを、是非新しい最新カメラと組み合わせて使用してほしい。きっと自分らしい撮影スタイルが見つかるはずだ。
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/2000秒・f1.2・ISO100（上）
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/320秒・f1.6・ISO100（下左）
Panasonic LUMIX G9PROII + OM DIGITALSOLUTIONS M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO・1/340秒・f1.2・ISO100（下右）
文・撮影／大貝篤史 モデル／加藤みゆ
■製品情報■
OMデジタルソリューションズ
https://jp.omsystem.com/product/lens/single/pro/25_12pro/index.html